”自動テクスチャ識別プログラム”とその可能性

”自動テクスチャ識別プログラム”

その可能性

コマツ株式会社と同志社大学が産学連携で開発した技術の集大成
”自動テクスチャ識別プログラム”※1
その開発経緯と今後の展望を紹介いたします

※1:特許出願中(特願2023-150356)

生きることは、識別することだ

人は、日常の様々な場面で、判断を繰り返します。

安全か、危険か。それを正確に判断する判別、識別、区別の優秀さが、人間という種を絶滅から遠ざけた最も重要な要因の一つ。と誰もが理解していただけると思います。判別、識別、区別。この作業を正確に繰り返すことが、生存には極めて重要です。

眼、耳、鼻、肌、舌。

視覚、聴覚、臭覚、触覚、味覚。

五感を駆使し危険を遠ざけようとします。

原始、狩れる動物と、襲ってくる動物を視覚で識別し、硫黄やガスの発生している地帯を臭覚で感知し、食べられるか毒なのかを舐めて触覚で確かめていました。

言い換えれば 生きる ということは 識別を繰り返すことではないでしょうか。

機械による識別補助

判別、識別、区別を、機械やセンサーで補助しよう。という研究は、機械学習において古くから行われています。歩行者と自転車、対向車や信号を識別し、人間の安全をサポートをする。カメラにより顔を認識し本人を特定する。そういったセンサーは、皆様の生活の中でも多く見かけられます。

人の眼では、当たり前の識別も、機械やプログラムとして形づくるには長きの年月がかかりました。

優秀な器官である人の眼でも、見分けのつかない微細なテクスチャの違いを、高精度に特定するのは、今日まで極めて困難な課題でした。しかも壁紙のように凹凸により模様を形成する対象は、撮影時の天候や、照明の明るさや角度、陰や影、さらには色温度の変化。様々な条件で、識別精度は、顕著に影響を受けます。

壁紙AI識別アプリ「かべぴた」の新商品発表会で説明する同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科 
知的機構研究室(奥田 正浩教授)

同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科
知的機構研究室(奥田 正浩教授)

テクスチャによる識別

壁紙AI識別アプリ「かべぴた」の新商品発表会で説明する同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科 知的機構研究室(奥田 正浩教授)

同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科
知的機構研究室(奥田 正浩教授)

これらの多様な環境に対応する柔軟性を有し、且つ、精度にはブレが無い識別システムを構築することは極めて困難な課題でした。

奥田 正浩教授(同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科 知的機構研究室)とコマツ株式会社は、共同で課題に取り組みましたが、既存の手法では結果は伴わず、新しい識別方法の構築を余儀なくされました。

微細なテクスチャを見分けるには、全体像や、形や色などの要素、既存学習の再利用などとは別の要素が必要であり、我々はすべての物質に存在する素材感に着目しました。局所的な素材感を独自の調整でデータ化し、幾重もの篩にかけ、識別を可能にするプログラムを開発しました。

我々は、それを自動テクスチャ識別プログラムと名付けました。

「自動テクスチャ識別プログラム」に関する論文
国際会議論文発表 2022 IEEE 11th Global Conference on Consumer Electronics(GCCE)
タイトル Wallpaper Dataset for Image Classification.
DOI   10.1109/GCCE56475.2022.10014404

「かべぴた」の性能

壁紙AI識別アプリ「かべぴた」に搭載されている人工知能のテクスチャ識別プログラムのイメージ

この度、自動テクスチャ識別プログラムを基幹システムとする、建築用壁紙の識別AIアプリ「かべぴた」をリリースするにいたりました。

「かべぴた」は、ディープラーニングを応用した先端技術により、局所的な模様を認識し、高い精度で品番を識別することが可能です。

普及品壁紙は壁紙の中でも、色や質感に差異が少なく、要素の少ない対象物の識別は、元来、技術的にハードルが高く、今日まで実現できませんでした。「かべぴた」は、熟練の専門家でさえ識別に苦労する普及品壁紙を、容易に特定することができる実用性の高いアプリケーションです。

人力では膨大な作業だった壁紙識別をスマホ一台、わずか数秒で識別する性能をご自身で体験してみてください。

「かべぴた」の制作ミッションは、たくさんの方に、スマホ一台、簡単操作で、建築用壁紙を識別するアプリケーションであり、「かべぴた」では、自動テクスチャ識別プログラム本来の性能を極限まで発揮させるに至っておりません。

壁紙AI識別アプリ「かべぴた」に搭載されている人工知能のテクスチャ識別プログラムのイメージ

自動テクスチャ識別プログラムの可能性は無限大

「かべぴた」は使用をスマートフォン、識別対象を建築用量産壁紙に限定し設計されておりますが、そのコア技術、自動テクスチャ識別プログラムは微細な素材の差異を高精度に識別するAIモデルです。全体的な特徴をデータベースと照合する既存のプログラムと違い、局所的な情報のみでの識別が求められるフィールドは広範囲にわたり、新たな価値を生む可能性に満ちています。

スマートフォンの様々な機種、カメラ性能への対応や、多様なご使用環境を想定した建築用壁紙品番識別アプリ「かべぴた」ですら90%以上の特定を可能とする自動テクスチャ識別プログラムの性能は、高精度カメラやセンサーとの組み合わせ、使用環境の限定により、識別精度も飛躍的に向上し、用途も格段に広がりを見せます。

対象は、繊維、皮革、木材、石材など素材感が存在する物質すべてが対象となり、データの蓄積により、品番や型式だけでなく、経年劣化や使用耐年数を割り出す事も可能。それにより製造、検査、検品にも応用が利く優れたプログラムです。

生物や植物の素材感も識別することができ、バイオや医学にも、応用可能な革新的なプログラムです。

局所的な微細な差異の識別によるリスクの回避。

局所的な微細な差異の識別による新たな創造。


自動テクスチャ識別プログラム

その可能性は無限大です

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